歯茎はなぜ痩せるのか?原因と治療法について解説します2018.04.18
「最近歯茎が痩せてきた」「歯肉が下がって歯が長く見えるのが気になる」といったお悩みを聞くことがよくあります。特にご高齢だとこのように感じる方
が多いのではないでしょうか?
表現の仕方は様々ですが、こういった症状を専門用語では「歯肉退縮」と言います。歯茎が痩せる原因と対処法についてご説明します。
歯茎が痩せる原因
加齢
実は、歯茎は年齢を重ねるにつれ、誰でもある程度は痩せていってしまうものです。とは言え、最終的に歯の根っこが見えてしまうまで下がる、というほどではありません。お口の中が健康であれば、加齢による歯茎への影響は、見た目や機能的には全く問題ないのでご安心下さい。
歯周病
歯周病は、口の中に細菌が感染することで、歯肉などに炎症が起こることです。歯周病により、炎症を起こした歯茎は弱っているために痩せやすいなります。
また、歯周病が進むと、歯周病菌によって歯茎の中の歯槽骨(しそうこつ)が溶かされてしまいます。歯槽骨は一旦なくなると自然には再生せず、歯と歯茎の間には歯周ポケットという隙間ができてしまいます。
歯周病菌は、嫌気性細菌と言って、酸素を嫌う性質があります。ミクロレベルに小さい歯周ポケットは格好の棲み家なので、ここを少しでも狭めて細菌を追い出そうと、歯茎が歯槽骨を追うように下がってきてしまうのです。
歯周病は進行すると専門医での治療が必要になります。当院では、1日でできる歯周病治療を行っています。 → デンタルプラークバスターⓇとは?
歯磨きのしすぎ
強すぎる力での歯磨きも歯茎が痩せる大きな原因のひとつです。実際に当院にも、「歯周病が悪化して、出血と痛みがあります!」とあわてて来院されましたが、診てみると強すぎる歯磨きが原因だった、ということがありました。
この患者様は、最初はわずかな出血があり、歯周病になったと心配に思ってその場所を念入りに磨いていたら、さらに出血し痛みも出てきたので、さらに磨いて出血して・・・という状況でした。
同じようなケースは意外と多いですが、熱心に歯磨きをする患者様はもちろん悪くなく、磨きすぎに対する注意喚起が足りていない私たち歯医者にも責任があると感じています。
歯茎が痩せやすい人、痩せにくい人
ご説明したような原因により、誰でも多かれ少なかれ歯茎は痩せてしまいますが、人によって痩せやすかったり、痩せにくかったりすることもあります。
歯茎の厚みには結構個人差がありますが、歯ぐきが薄い方のほうがずっと痩せやすい傾向にあります。ちなみに歯茎は場所によって厚みが異なり、特に薄い傾向があるのは上顎の犬歯、そして下顎の前歯です。
また、貧血気味の方やタバコを吸われる方などは歯茎が痩せにくいです。しかし、見た目の歯茎は厚みがあって健康そうでも、いざ検査してみてビックリ、中の歯槽骨がほとんどない、という方もいましたので注意しましょう。
歯茎が痩せて心配になったら歯医者に相談を
歯茎が痩せた原因が歯周病にせよ、歯磨きのしすぎにせよ、心配になったら歯医者に相談しましょう。特に歯茎から出血があった場合は、何らかのトラブルのサインです。ホームケアでは解決できないケースも多くあります。
また、ヘビースモーカーの方は歯茎が痩せにくいと言いましたが、同時に歯周病のリスクが高い傾向にあります。不安があれば、歯茎の状態を見た目だけで判断せずに、きちんと専門医のもとで検査を受けることをおすすめします。
歯茎が痩せた方におすすめの歯磨き粉
ウェルテック コンクール リペリオ
洗口液のコンクールFやフッ素配合歯磨き粉ジェルコートFなどを販売するウェルテック社の歯周病患者向け歯磨き粉です。歯周病用歯磨き粉は各社どれも似たような製品を出していますが、こちらのリペリオは歯茎修復の効能をうたう唯一の歯磨き粉です。
論文や学会でも効果が認められている、OIM加水分解コンキオリンという成分が、歯茎を活性化、血行を良くして歯周組織の修復を促進してくれます。炎症を抑えてくれる塩化ナトリウムがちょっとしょっぱく感じますが、研磨剤不使用なので長く磨けるのもポイントです。
もちろんこれを使えば下がった歯肉が元通りになったり、歯周病が治ったりするわけではないですが、予防や治療のお供としておすすめです。歯磨きは何より大事ですが、磨きすぎにはくれぐれもご注意を。歯科医院専売品なので、ドラッグストアには置いてませんが、Amazonなどで買えます。